ギャラリー・アバルト自動車美術館が所蔵する70台に及ぶ世界屈指のイタリア車は、私たちアートディレクターの小坂士朗が50年の歳月を掛けて蒐集してきたものです。1950年~70年代のアバルト、フェラーリ、アルファ・ロメオ、フィアット、ランチアを中心に世界に1台しかない大変貴重な歴史的価値のある名車ばかりです。
戦前からヨーロッパでは、コーチワーカーというボディ架装メーカーが作るボディをベア・シャーシに載せるという手法を取ることが多く、各国でこうしたメーカーが生まれていましたが、中でもイタリアはカロッツェリアと呼ばれるメーカー、工房が多くあり、その独持の美しい端正で流麗なデザインは一歩抜き出ていました。
当自動車美術館では、このようなイタリアの良き時代に、とりわけ1950年~1960年代を中心に、あるものは当時の工場から出荷されたそのままの状態、またあるものは、その時代のオリジナルな状態で往時を偲ばせる完璧なコンディションで所蔵されています。
自動車とは、その時代の文化性(建築様式、ファッションなど)にマッチしたデザインとスキルのバランスがとれた乗り物のひとつです。これらの大変貴重な歴史的価値のある名車から、今とは違ったヒトとクルマの関わり、テクノロジーの発展と引き換えに失ってしまったもの、そして、そのクルマ達を生んだ背景や歴史、イタリア文化、さらにはイタリア人の生き方、楽しみ方を感じていただけます。